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1月の虫たち
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     昨年の秋のこと、写真家長島有里枝さんから、庭のカキノキにまるまる太ったイラガの大群がいるから助けて!とSOSが入りました。

     イラガ蛾の幼虫は、広食性でいろんな木に付きますが、特にカキなど果樹、モミジなどが大好物です。たぶん葉っぱの糖質が多いのではないかと思います。

     イラガの幼虫は20〜30ミリ。きれいな黄緑を基調に、縦ラインが入っておしゃれです。からだ中とげとげの突起があって丸っこく、金平糖のようにも見えて、なかなか可愛いのです。ところがどっこい、触ると大変です。動物除けの畑の高圧電流に触ったことがありますか?まさにあの衝撃が走ります。ミニスタンガンとでもいうべきか。もっともスタンガンは経験がないのでわかりません。ぼこぼこの突起の先に針があって、さわると突起内の毒腺から毒液を注入するのです。ハチと同じですね。チャドクガは、肉眼で見えない毒針を散布するので近づくのも危険なのに比べ、こっちは触らなければ大丈夫なのでまだ対処しやすいのです。

     誤解されやすいですが、スミレなどを食べる、やはりとげとげの突起のあるもっと長細くてカラフルな芋虫がいます。これはイラガを擬態したタテハチョウの幼虫で、無害です。

     

     

     十種類ほどの一部は、写真のような茶色と白のマーブル模様、楕円形で20ミリ前後のまゆを枝の又や幹にくっつけて、中で成虫の蛾になります。まゆで越冬して春になると、まゆの頭の丸い穴をあけて蛾が出てきます。これはカエデの小枝についていました。まゆの模様は二つと同じものがなく、とってもきれいです。長島邸は、手で捕獲するつもりで厚手のゴム手袋を用意して一週間後に駆けつけたところ、一匹もいないのです。まゆの一個もありません。どうやら地面に潜って成虫になるタイプのイラガで、すでにみな潜ってしまった後だったみたいです。

     

     

     もう一つ、これはクリの木の枝です。直径3,4ミリの黒びかりした楕円形のものがびっしりくっついています。数千個ありそうですね。つぶすとこげ茶の水が出て、甘いコールタールのようなにおいがします。どうやらなにかの卵です。

     

     

     もしやと思ってよく見ると、いました。やはり黒のしもぶくれのまるっと太った腹に長い脚。クリオオアブラムシの幼虫です。5ミリ前後もあってアブラムシの横綱、小型のクモのようにも見えます。足が長いので動きも早い。いかにも凶悪そうな面構えではないですか。名前の通り、クリのほか、クヌギやカシ類につく害虫です。葉っぱではなく、枝や幹にたかっています。

     

     

     アブラムシ類は、繁殖に特化した生態です。卵から春孵化する幼虫は原則メスのみです。(写真の様に1月ですでに孵化している奴もいますが)二齢幼虫のまま胎生で無性生殖の卵を宿し、幼虫を産み始めます。そうして爆発的に数を増やすのです。ほとんどの幼虫は2齢のまま終わります。一部は、牙をもった兵隊アブラムシというガードマン役も出てきます。秋になると、ごく一部オスが生まれ、有翅の成虫メスと交尾すると、メスは新しい産卵する木の幹を探して飛び立つのです。

     この卵がいっせいに孵化した時の絵を想像すると、めまいがして木から落ちそうでした。

     

    文責・藤本邦彦

     

     

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