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不滅の男
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    先日、音楽家の遠藤賢司ことエンケンが胃ガンで亡くなられました。

    ネットニュースでその訃報を知ってビックリして、家に帰って早速レコードを聴きました。

     

    エキセントリックでエネルギッシュでお祭り男なエンケンもカッコイイのですが、個人的には初期のわりとフォーキーなアルバムが大好きで良く聴いていました。

     

    1990年代、当時の日本のひとつのポップシーンを象徴する“渋谷系”と呼ばれるアーティストたちとその後に続くアーティストたちが、シティ・ミュージックをベースに邦楽・洋楽問わず過去の様々なジャンルの音楽を再解釈、そして再構築していきました。

    その中で、60年代や70年代のサイケやフォーク・ミュージックのリバイバルブームなどもあり、はっぴいえんどやはちみつぱい、高田渡や友部正人や三上寛などとともに、遠藤賢司も10代20代の若い世代に再び注目される様になりました。

     

    当時高校生だった自分も、下北沢の黄色いレコード屋でエンケンの「満足できるかな」を買いました。

    既に友人の家で聴いてその内容の良さを知っていたので、見つけた時はまるで宝物を掘り出したかのように胸が高鳴ったことを憶えています。

     

     

    71年発表のこの名曲揃いのアルバムは、数曲除いてアコースティックなセットで、バックを務める“クレイジー・ホース”と化したはっぴいえんどの面々とのリラックスした楽しげな演奏を録音した名盤、エンケンの代表作のひとつです。

     

    プロテストソングとは明らかに違う、四畳半の生活の柄が織り込まれたユーモラスで優しいエンケンの歌を久しぶりに聴いていると、いくつかの忘れ難き思い出と忘れかけていた思い出が交差して、10代20代のいつかの自分のぼんやりとした影がゆっくりと、今ここにいる自分と重なっていきます。

    アナログ盤をB面に裏返して針を落とすと、パチパチっと大きなノイズがしばらく続きました。

    ミステイクから始まるB面の最初のこの大きなノイズが、瞬間的に、ある種のノスタルジックな鮮明な匂いのように胸に突き刺さりました。

     

    涙は出ないけど、少しだけ感傷的な気分になりました。

     

    録音されたものが変わることは決してないけれど、歳を重ねていく自分とその作品の関係性はいつまでもアップデートし続ける、それはきっと優れた作品だけが持ち得る音楽の大きな魅力のひとつなのかも知れません。

     

    偶然にも命日に自分の作ったカレーを、美味い!美味い!なんて頬張っていましたが、なんだかまたカレーが食べたくなってきた。

    きっとまた、いつかのようにカレーを仕込みながら、そして食べながら、このアルバムを聴くんだと思います。

     

     

    文・神田

    | 音楽 | 22:07 | comments(0) | - |
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